夏期研修茶会 感想文

場 所:かながわ平和祈念館
日 時:7月29日(日)

学校茶道連絡協議会茶会に参加して  県立金沢高校2年 木村 美仁
 今回、私は大きなお茶会に席持ち校の部長として参加させていただきました。最初お茶席を担当すると聞いた時、漠然とした不安で一杯でした。しかし、先生方が熱心に、そして丁寧に指導してくださり、また皆でお点前の工夫をしたり、道具やお菓子や席入り券や準備が進んでいくうちに、当日には不安に負けないくらいの自信がつきました。実際にお茶会をやってみると想像した以上にさまざまなことがあり、その中から多くのことを得ることができました。特に、表と裏のお点前の分担を決めて合わせたり、陰だしの役割分担・お菓子の担当・お湯の係りなどを通じて部員の結束が強くなったように感じられました。得られたことは、決して前向きのものばかりではありません。これからの課題も沢山見つけられました。このお茶会で得られた全てのものを、これから部でやるお茶会ばかりでなく、生活の中でも活かせたらと思います。


初めてのお茶会           県立金沢高校1年 金子 ゆり
 茶道部に入部してまだ4カ月しか経っていないのに、思いもかけない大きなお茶会に参加させて頂くことになりました。しかも私にとっては、自分から茶箱のお点前をやりたいと真っ先に手を挙げたにもかかわらず、ぎりぎりまで茶巾が上手く畳めない、指先がそろえられない・・・とまだまだ不十分な点を残してのお茶会でした。当日、お茶席は思っていたよりも暑く、その上忙しいものでした。狭い水屋で身動きが取れない中、お菓子を準備し、表より多くのお茶を点てて運び、昼食は立ったまま済ませなければならない有様でした。お客様の人数も多く、それだけでも緊張してお運びの時は足も上手く運べませんでした。ですが大変なことが色々あった分、お客様に「おいしかったです。」のお言葉を頂けた時は、「喜んでもらえた」と心から嬉しく思いました。今回、私には何もかもが初めてだったので、すべてがとても貴重な経験となりました。ここで学んだことを学校の文化祭で活かせるよう、より多くのお客様においしいお茶を楽しんで頂けるよう、これからも日々お稽古に精進していきます。


お茶会を終えて           県立金沢高校2年 征谷 昌子
 今回この大きなお茶会で席を持つ為に、自分たちでアイディアを出し合って席入り札を作ったり、会場が校外なので持って行く道具を揃えて荷造りをしたりと、皆で協力して準備を進めてきました。お茶会当日、水屋の方は多少慌ただしかったけれど、先輩の方達の協力を得て、何とか切り抜けることができました。私達の今までの努力や思いが伝わったのか、席を後にするお客さんには、笑顔が見られました。また、今回のお茶会で私は半東デビューをしました。始めは大勢の人の前でちゃんと席の説明ができるか不安でしたが、実際にやってみるとお点前をするよりお客さんと近くなれてとても楽しく、新しい茶道の面白さに気づくことができました。このような素晴らしい経験ができたのも、全て先生方のご指導のおかげだととても感謝しています。この経験を生かし、また日々の練習に励んでいきたいと思います。

横浜国立大学茶道研究会 3年 高場 絢子
 私たち横浜国立大学茶道研究会では、季節ごとにお茶会を催しています。例年通りの茶会ならば、お客様も亭主も部員ですから、今回の学校茶道茶会は私たちにとって一味違うものでした。私たちより経験も、知識も豊富なたくさんのお客様をお迎えするにあたってお運びや陰点ての練習など、普段よりも多くのことに気配りが必要でした。お点前も非常に緊張するものでしたが、多くのお客様を前に茶会をやりとげたことは、私たちにとって本当に良い経験になったと思います。私たちにこのようなすばらしい機会を与えてくださり、支えてくださった多くの方々にとても感謝しています。ありがとうございました。私は、大学に入って茶道を始めました。まだ1年と少ししか経っていませんが、茶道の魅力にすっかり虜になっています。茶道の持つ奥深さは、私の心をひきつけて止みません。お点前はもちろんですが、私たちに伝わるまでの長い歴史やお道具の一つをとっても深い意味があり、茶道を知ることが様々な分野の勉強につながります。夏の合宿では、お花についても教えて頂ける機会があり、茶道という一つの入り口から自分の知識や世界が広がっていくのを実感しています。もう一つ、茶道をやっていてよかったと思うことがあります。私は大学で国際共生社会過程に所属し、外国の文化について学んでいます。その中で、海外からの留学生と触れ合う機会も少なくありません。彼らとの関わりの中で、必ず話題に上るのが日本文化についてです。茶道という限られた分野ではありますが、胸を張って日本文化を紹介できるようになったことを嬉く思います。茶道の世界は広く、私が触れることのできる分野はほんの一部に過ぎないでしょう。これからも進んで練習に励み、少しでも多くのことを吸収したいと思います。


横浜国立大学茶道研究会 3年 高橋 宏彰
 私が茶道を始めたのは中学校の茶道部でした。茶道を始めた当初は周りから「男子なのに茶道部」などとよく言われもしました。しかし、そのようなことは気にせず中学時代の3年間茶道を続け、茶道の世界に心が惹かれていくようになりました。その後、高校に進学後も茶道を続け多くを学んできました。しかし、大学1年の夏を境に大学の授業の都合で茶道研究会をやめざるを得なくなりました。その後約1年間、全くと言ってよいほど時間がとれず、茶道に触れる機会がほとんどありませんでした。この時期、色々とつらいことがあり私は茶道を続けるのをもうやめてしまおうかと悩んだときも何度となくありました。そして大学2年の夏休み過ぎ、他大学の文化祭に遊びに行った時に、茶道部のお茶会が開かれていたため久しぶりにお点前を拝見したくなり軽い気持ちでお茶席に入りました。そこで行われていたお点前は茶通箱。このお点前を見たとき私はかなり衝撃を受けました。大学で初めて茶道を始めた学生でも、こ のようなお点前を奇麗に出来るのだということを知り感動しました。その後、連日ま た別の大学のお茶会を出来るだけ巡り、だんだんとまた茶道を再開したいという思いが強くなっていきました。そして、私はまた大学の茶道研究会に入部しました。再入部してからこの1年間、多くの仲間に支えられ、日々楽しく稽古をしております。初めて唐物点、盆点といった四ケ伝のお稽古をしていただいたり、また多くのお茶会にも亭主を務めさせていただいたりし、充実した日を過すことができました。大学でまた茶道ができ、とても良かったと常々感じております。「白珪尚可磨」中学校の時に先生がお茶会で飾った掛軸なのですが、この言葉の意味を聞きとても感銘を受けたことは今でもはっきりと覚えています。茶道の世界はとても奥が深く、まだまだ分らない事も数多くありますが、この言葉を忘れることなく大学在学中に出来るだけ茶道を学び更に自分自身に磨きをかけていきたいと思います。


横浜国立大学茶道研究会
 私は高校1年の時に茶道部に入部し、お茶を習い始めた。始めた理由は和菓子がきれいで好きだからとか、日本古来の礼儀作法を知っておきたかったからなどという安易なものだった。始めてから改めて気づいたことがある。それは日本の四季の美しさとそれを感じる心のゆとりだ。先日のお茶会では夏祭りをテーマにして、水差しの蓋にうちわを、蓋置に中に御輿が描かれているクリスタルガラスを使った。お菓子は底のほうが水色で透明な中に赤い金魚が数匹泳いでいるものを青い菓子器に盛ったので、器の白い線の模様が波紋に見えて、まるで本当に青い水の中で金魚が楽しそうに泳いでいるかのようだった。高校の時は七夕をテーマにしたりした。洗い茶巾や葉蓋などいろいろなお点前や茶碗、書、花、菓子、その時期の銘の1つ1つにその季節の美しさが感じられ、現代の私たちが忘れかけていた季節ごとの喜び、伝統的な行事、昔の人の知恵などを思い起こさせてくれる。そして何よりも、お茶を点てる・頂くという静かなゆったりとした空間の中で、ふと窓の外の新緑や空、さわやかな風に気づいて穏やかな気持ちになれる。もう一つは、思いやりの大切さだ。亭主がお客様に楽しんでいただこうと茶道具の取り合わせを考えて、さまざまな趣向をこらして準備するもてなしの心。亭主の心遣いに感謝して、それを拝見して感じてじっくりと楽しませていただく客の感謝の心。湯加減やお茶を出す頃会い、料理のお皿を客が一歩前に進み出て返す動作、挨拶をする頃合い、茶碗を下げる頃合いなど、亭主・客はあらゆるところでも相手を思いやり、それは水屋でもお運びでも大切なことだと思う。私はまだまだ茶道のことをほとんど知らず、茶会でも自分のことだけで精一杯になってしまうが、これからもっとお稽古をしていろいろなお点前や新たな作法を学び、お客様が心から楽しめるようおもてなしをしたい。


 

 学校茶道連絡協議会・夏期研修茶会

場 所:かながわ平和祈念館
日 時:7月29日(日)


 去る7月29日(日)、かながわ平和祈念館にて、学校茶道夏期研修茶会が催されました。今年は、横浜市立金沢高等学校と横浜国立大学茶道研究会の2校が担当でした。
 市立金沢高校は、お家元より寄贈されました茶箱点前セットの披露もかね、「卯の花点前」を二人並んで、鏡点前でした。今春入部したばかりの1年生部員もしっかりと稽古を重ね、先輩部員と共に、手前にお運びに積極的に取り組んでいました。その生き生きとした姿に、大変すがすがしい印象を受けました。また、横浜国立大学茶道研究会の立礼席は、「夏祭り」をテーマに、浴衣姿も涼やかな持て成しでした。祇園祭の鋒の絵の描かれた団扇を水指の蓋に見立て使い、お菓子も、金魚すくいの趣向で工夫された楽しいお席でした。


 

 平成18年度 学校茶道体験論文・第2席入選・おめでとう!

茶道がくれた一歩          関東学院高校3年    進藤 栄梨子

 私は、中学1年の冬に茶道を始めて、もうすぐ6年目になります。学校の課外授業として茶道部があり、「お菓子はおいしいし、こんなに安く茶道を習えるのは今だけ。花嫁修業にもなるし、就職活動にも役立つわよ。」と、母にうまくそそのかされたのがきっかけです。最初はほとんど興味がありませんでしたが、1週間の最終日である金曜日の、放課後に食べるお菓子は本当においしくて、お菓子を食べるためだけに月曜から木曜までの学校生活を過ごしていた週もありました。毎週違う、キラキラしたお菓子たちは、なんとなく始めた私を6年間も茶道に繋ぎとめてくれました。けれども、最初のうちは学校生活も忙しく、運動部と兼部していたために身が入らず、楽しんではいたものの、しばらくはだらだらと続けていました。私が左利きということもあり、右手に力が入らないことが原因で、お茶がおいしく点てられない、柄杓もうまく持てないといった苦労もありました。しかし、兼部していた運動部をやめたり、友達関係でいざこざがあったりと、学校生活に不満があった頃、ある日突然茶道に目覚めました。今まで目に付かなかった、お茶室から見る庭の木の葉の色や、暖かいお茶碗の手触りにも気がつくようになったのです。私を惹きつけたものは、季節を先取りした花やお菓子であったり、お茶碗の形や絵柄、感触であったり、茶道の心得であったりしました。そのときに感じた衝撃は大きく、それまでぬるま湯の中に浸かっているような生活をしていた私にとっては、何かが劇的に変わる一歩なのかもしれないという気がしていました。そこから茶道に関わるもののみならず、人との関わりや季節の移り変わり、日々の生活にも感動が生まれるようになりました。私を惹きつけた茶道の心得の一つに「降らずとも傘の用意」があります。私は日頃から頻繁に傘を忘れたり、なくしたりしていたので、日常生活でもずいぶんとこの言葉に助けられました。茶道で覚えたものの中にはこの心得のように日々の生活に役立つものがたくさんありました。普段から自然に敬語を使えるようになり、以前はあまり気にしなかった礼儀作法にも気をつけるようになりました。母にそそのかされたことは、あながち間違いではなかったのです。お菓子はおいしいし、礼儀作法が身についたのは事実でした。なにより、だらだらと続けていた時期も、今も変わりなく、茶道が楽しいと思えるのは、自分でもうれしく思います。私は、特に茶杓の銘を考えるのが好きで、友達と相談しながら辞書を開き、どの銘が一番季節に合っているかなどを、考えただけでウキウキします。また、以前から私は、住居学の分野に進もうと決めていましたので、茶室の実用性を重んじる間取りや、自然の木々に溶け込む外観にも興味深いものを感じます。将来、自分で建てる家には茶室を作り、老後も茶道を楽しみたいと思っています。高校3年の春、三溪園での大きなお茶会に、お客様としてではなく、お茶をお出しする側として出られることになりました。私が出られた理由の1つは、部の中でも長く稽古を積んでいるからということでした。それまで、茶道に目覚めるまでの月日は無駄だったと思っていましたが、そのお陰で大きなお茶会に出られると思うと、無駄だった月日が取り返せるような気がしてうれしく思い、一生懸命お稽古に励みました。お茶会に出たことで、快い緊張感を味わうことができ、一緒に頑張ったほかの高校の生徒が茶道に向き合う姿勢を見て刺激を受ける事ができました。お点前だけでなく自分自身も成長できたのではないかと思います。もう1つ素晴らしいものも得ることができました。それまで、スポーツにおいてもチームプレイをしたことの無かった私は、初めて仲間を信頼し、協力し合って本番に臨むということを学んだのです。2学期から、秋の文化祭へ向けてのお稽古が始まります。私が高校生としてお茶会に参加するのは、是が最後となります。お点前を成功させるのはもちろんのことですが、私の茶道部での6年間のように、自分で「楽しい」と思えるようなお茶会にしたいと思います。何かが劇的に変わるかもしれないと思った1歩は小さなものでしたが、茶道は私の高校生活だけではなく、気づかないうちに私の思考や物事の感じ方までをも変えていきました。私の志す大学には茶道部と茶道の授業があります。そこでまた次の1歩を踏み出せるように、今を大切にしたいと思います。


 

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