秋の研修旅行に参加して

場 所:名古屋八事窯・徳川美術館
日 時:10月28日(日)

 10月28日、名古屋への研修旅行に参加しました。総勢28名で出発した横浜は曇り空でしたが、名古屋は予報通り雨が降っていました。
 はじめに訪問した楽焼八事窯では、門に大きく成長したもみじが傘のように広がり私たちが雨に濡れないよう守ってくれ、愛知第一支部の飯田宗林幹事長、神谷宗節副幹事長さんにお出迎えいただき、感激いたしました。
四代目中村道年尼さんは、飾られた初代から歴代の作品の茶碗を説明して下さり、私たちはそれを手にとって拝見させていただきました。そして、「でもね」と一呼吸おいて「自分で作った真心の茶碗が一番。ぜひ、茶碗作りに来て」とお話し下さり、偉大な作家さんの気さくで暖かなお人柄に、「絶対茶碗作りに来る」と強く思いました。また、五代目中村道年さんからは、黒楽焼に漆をかけた珍しい豊楽焼の話をうかがい、いろいろ挑戦しながら伝統を残し伝えていく姿勢に、私たちも常に新しいことを勉強していきたいと思いました。
 徳川美術館では企画展「徳川将軍の御成」を鑑賞、徳川御三家の尾張、紀州、水戸徳川家や加賀前田家等諸大名への御成りの記録や御成り諸道具の数々が展示されており、時間を忘れて拝見いたしました。
徳川茶会は、餘芳軒でお濃茶、床に寒山拾得図、長板に青磁算木文水指一つ荘、名物古瀬戸茶入、井戸茶碗など御成りの茶の様子が伺えました。山ノ茶屋で薄茶、寄付きの床に家康筆の道中宿付、本席の床に足利尊氏筆「あつまちをまたたひ人・・」和歌懐紙が掛り、高麗刷毛目茶碗は編み笠の形、旅の趣向に秋ただなかの風情をとの取合せか。帰りの新幹線の時間が迫っていましたが、貴重なお道具でいただく一碗に、時間を忘れて過ごしました。また、お薄席の末客にいた私たちに、お茶を出すのにお待たせしたと帰りにそっとお干菓子を持たせてくださった心づかい、とてもうれしく思いました。

徳川茶会の記念品の高麗雲鶴茶碗でお茶を点てようと心に念じ、帰路につきました。名古屋の皆さま、大変お世話になりました、ありがとうございました。
                             渡辺宗清・永野宗文




 第33回「夏期研修茶会」

場 所:かながわ平和祈念館
日 時:7月22日(日)

 第33回「夏期研修茶会」が7月22日(日)かながわ平和祈念館で開催されました。暦は大暑の当日で、熱中症も心配でしたが気流の変化も幸いして暑さを感じることもなく、快適なお席となりました。昨年は東日本大震災による影響で夏期研修茶会は中止となり、2年ぶりに迎える会場には例年になく多くのお客さんが来席くださり、亭主側の学校も張り切って応対され、学校茶道らしい、爽やかで明るい雰囲気をかもしだしていました。
 立礼席の担当は関東学院高校(指導者:蒔苗宗芳)県立南陵高校(同:朝比奈宗定)二校の合同席。立礼席は扇面「清流無間断」を掛け、御園棚に富士釜、水指の青交趾が涼しさを感じさせていました。関東・南陵とも男子生徒のお点前があり、大きな手が細い茶杓を持つと連客の顔も思わず微笑んでいました。後に男子学生に茶道を稽古する原点を訪ねると「和菓子に興味をもって」、また「文化祭で茶席に入って、何もわからない自分が恥ずかしくなり、初心で茶道を学ぼうと思った」とのこと。しかし受験のため茶道から遠のくとのこと。最後の席では点前、半東等各校から選ばれて、フィナーレにふさわしく両校の学生は和やかにおもてなしをした。会の終わりに席主の学生から「和敬清寂」について、丁寧な説明があり、雅な一刻にふさわしい挨拶でした。
 和室「松風」は県立横浜緑ヶ丘高校(指導者:伊藤宗幸)が担当のお席。六月の文化祭でも立礼席を設け続けての茶会に、それから特訓を受けて研修茶会の稽古に切り替えたとの事。この和室は大寄せには使いづらいが、中央に棚を据えて左右からお客様が点前を視えるように工夫。床には、竹の一字を大きくしなやかにしたため「葉々生清風」の語句を添え書きの一行。釜は平丸、棚は荒磯、そして茶杓は「涼風」。
全員がゆかたを着てのおもてなし。この会が終わると三年生は受験に専念するとのこと。脇床には滝の絵、荒磯棚の水指の鯉がその滝を登って替茶器の龍と化していた。茶道で得た集中心と根性等で幾多の難関に出合っても、登りつめてほしい。国際都市横浜に誇りをもち、後輩に引き継いで行くと学生達は語ってくれた。






  

 平成24年7月22日 淡交会横浜支部 学校茶道研修茶会


県立横浜緑ヶ丘高校茶道部員感想文


高校3年

お越しくださいました多くのお客様にご満足いただけたことを大変嬉しく思います。お客様の目の前でお点前をすることには緊張しましたが、笑顔でお帰りになる姿やお褒めの言葉から茶会の楽しさを感じることができました。

高校3年 

一言で言えば、緊張しました。亭主や伴東はもちろん、裏で動いているときでさえ気の抜けない1日でした。しかし、普段のお稽古ではできないことも多く、とても良い経験ができて、本当に茶道をやっていて良かったです。

高校3年
最初は自分たちだけで何百人ものお客様にお茶をお出しすることができるのか不安もありましたが、部員皆で協力して、また多くの方の支えもあり、無事お茶会を終えることができました。お点前や半東はとても緊張したけれど、今までのお稽古を思い出しながら、お客様との会話を楽しみながらお茶会を進めることができ、とても良い経験になったと思います。

高校3年
今回のお茶会は数多くの方とコミュニケーションがとれたり、お茶会を一生懸命することなどで新たに多くの茶道の楽しさを感じる事ができました。今の高校生にはあまり感じる事の少ない日本の和の独特な楽しさを感じることは人の心を満たし、また満たされて、歴史を知り、自然を知ることのできる最高の機会だと思いました。これからも続けていきたいです

高校3年
今回のお茶会では、日常経験できない素晴らしい体験をさせて頂きました。お客様との直に触れあう暖かさや、自分が御点前するときの緊張感。何よりとても楽しかったです。普段よりご指導頂いてる伊藤先生、日比野先生はじめ当日裏方をして頂いた先生方、この機会を下さった全ての方に感謝致します。

高校2年
お茶会にむけて、自主練習や、お道具の説明練習など、念入りに準備をしたつもりでしたが、本番では練習通りに出来ず、苦労しました。それでもお点前の時に、お客様が「綺麗なお点前」と言ってくださり、一生懸命練習してよかったなと感じました。また、自分のお点前を、たくさんのお客様に見て頂く機会はそんなにないので良い経験になりました。

高校2年
お茶会は私にとって、一生忘れられない素晴らしい経験となりました。私はお点前をやることになり、そのことで頭がいっぱいでした。間違えないように、足がしびれたら嫌だな…と。ですが、お点前が終わった最後の挨拶のとき、お正客の方に「素敵な笑顔をありがとう」と言って頂けたのです。その時、茶道は完璧なお点前が出来たらなお良いけど、それよりも心が大切だということを実感できたのです。今の高校を選び、茶道部に入り、先生や部員の皆に出会い、今回のお茶会でもたくさんの人に出会えた。「一期一会」はとても素敵な言葉です。今回の素晴らしいお茶会を忘れず、また素敵な出会いが出来るよう、これからも一生懸命お稽古に励んでいきたいです。

高校2年
この度は、貴重な経験をさせていただき有り難うございました。私にとってこのような大きなお茶会は初めてで、緊張してしまいましたが、来てくださった方々が、温かい言葉をかけてくださり、心から嬉しく思いました。私はまだ経験が浅く、まだまだ未熟ですが、これからも日々努めて参りたいと思います。 


 

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